
以前このブログに登場した、幼稚園からの幼なじみのS君が、僕にそう言いました。
なんでも、S君は片付けをしない自分のお母さんに対して、怒っているそうです。
「リビングをキレイに片付けるための4つの『収納のコツ』」に登場したS君のお母さんは、家の片付けが苦手です。
僕とS君とは幼稚園の頃から仲が良いのですが、僕は未だにS君の家に入ったことがありません。
遊ぶ時は、もっぱら僕の家か他の友達の家でした。
S君曰く、「自分の母親は片付けができない人なのだ」というくらいにしか、当時は感じなかったそうです。
しかし、月日が経つに従って、
「あれ?僕の母親なんかおかしくないか?ひょっとして発達障害なのか?」
と思うようになり、今では帰る度に実家の散らかりように辟易しています。
実家の散らかりように辟易していたS君はある時、お母さんに一緒に部屋を片付けようと提案しました。
その時はお母さんも乗り気で、最初の方は手伝ってくれたのですが、次第に疲れたと言ってテレビを見て、そのまま寝てしまったそうです。
実家に引っ越して来て20年の間で、いわゆる大掃除という大々的な掃除は未だかつてしたことがありません。
家の中に入れるのは家族と親戚だけだそうです。
S君はこう言います。
「別に今すぐ家の中を片付けないといけないワケじゃないけど、いずれ母親が歳を取った時に、自分ひとりで家の中の大量の物を処分しないといけないと思うと気が滅入る」
「母親の心理を知って、なるべく片付けに協力的になってもらいたい」
その悩みを聞いて、片付け110番と関係のある整理収納アドバイザーの方が以前教えてくださった、片付けられない人が抱く心理を用いた片付けられるようになる方法を、S君に伝えました。
今このブログを読んでいる方の中にも、自分自身が、または身近な人の誰かが片付けられなくて困っているという方はいらっしゃいませんか?
片付けられない人がどういう心理で、どう促せば片付けをしてくれるようになるか知りたいという方はいらっしゃいませんか?
今回は、片付けができない人がどういう心理を抱いていて、その心理を知って片付けができない人をなんとかしたいと考えている人に、心理学を用いた片付けの促し方を紹介します。
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「片付けられない人」の心理とは何なのか?
S君は片付けができない自分の母親を見て育ったことが反面教師になり、逆に片付けや整理整頓は得意です。
今現在ひとり暮らしをしている部屋も、所有している車の中も、まるでゴミ屋敷のような実家と比べると、比にならないくらいキレイで清潔な状態です。
そんなS君からしてみれば、片付けられない・片付けができない自分の母親の心理状態がどういうものなのか、理解できないと言うのです。
一体、片付けられない人はどのような心理を抱いているのでしょうか?
捨てられない・溜め込んでしまう
根本的に物が捨てられないという心理を持った人は多いです。
特に戦争を経験した高齢者の方に多いです。
なぜなら、戦時中の物資が乏しい環境を体験してきたので、物がたくさんあるという状況への憧れを持っている人が多いからです。
少々壊れようが使う頻度が減ろうが、「もったいない」「いつか使うかもしれない」という感情が先行して、捨てられなかったり溜め込んでしまったりするのです。
また、そうでないもっと若い世代の人にも、物が捨てられない人はいます。
それらの若い世代の人は、過去にあった人間関係のトラブルや、悩みや怒りなどをずっと抱えており、それらが起因でできた心の「穴」を埋めようとして、物が捨てられなかったり、物を溜め込んでしまったりすると言われています。
取捨選択ができない
「何が自分にとって必要で、何が自分にとって要らないのかが決められない」
「仕事にしてもプライベートにしても、優先順位が決められない」
このような「選択ができなくなっている」という人がいます。
このような「決められない心理」の原因は、ストレス・過労などによる軽度のうつ病の初期症状や、抑うつ状態である可能性があるとされています。
外ではキチンとしている人でも、自宅に帰った途端にその緊張の糸が切れ「思考を停止した状態」になってしまうのです。
また、慢性的な睡眠不足や自覚しない過労状態に置かれていることで、軽い抑うつ状態になっているというケースもあります。
以上のことが、片付けられない人が抱いている心理だと考えられます。
「もったいない」は素晴らしいけど…
「もったいないから捨てられない」
S君のお母さんはそう言って、片付けをすることにあまり乗り気ではありません。
この、「もったいない」という言葉と考え方について、ひとつ興味深い話があります。
もう亡くなってしまいましたが、アフリカ・ケニアに環境保護運動家として活躍されていたワンガリ・マータイさんという女性がいました。
この方はケニアの国会議員であり、ケニアの環境副大臣をしていました。
2004年に「孤族可能な開発、民主主義と平和への貢献」により、環境分野で初めて、またアフリカの女性として初めてのノーベル賞を受賞しました。
マータイさんは受賞した翌年に来日されたのですが、その際に「もったいない」という日本語を知るのです。
「もったいない」という言葉に感銘を受けたマータイさんは、この意思と概念を世界中に広めるため他の言語で該当するような言葉を探したそうです。
しかし、「もったいない」のように、自然や物に対する敬意、愛などの意思や尊敬の念が込められているような言葉は、他の言語には見当たらなかったそうです。
この日本と日本語にしかない「もったいない」の精神を世界に広めるべく、「もったいない」を国際語にしようと呼びかけ、「モッタイナイで地球は緑になる」という著書まで書かれました。
このように、外国の権威のある方からしてみても、「もったいない」という言葉と意味は独特で、強く印象に残るようです。
しかし、もったいないからと言って、ゴミや使わない物を捨てないということは、また別なのではということです。
マータイさんにとっての「もったいない」という言葉には、消費削減(リデュース)、再使用(リユース)、再生利用(リサイクル)、尊敬(リスペクト)という4つの概念が含まれています。
つまり、「捨てずにずっと持っておく」という概念はなく、それは「もったいない」とは違うことなのです。
本当の「もったいない」の意味は、その物に尊敬を払って処分し、再利用や再生利用を繰り返して、持続可能な環境をつくっていくという意味なのです。
「もったいないから捨てられない」のではなく、「もったいないからこそ捨てる」のです。
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「片付けられない人の心理」を用いた、片付け促進術
それでは、先ほど紹介した「捨てられない・溜め込んでしまう」と「取捨選択ができない」という、片付けられない人が抱える心理を用いて、片付けられない人を片付けられる人にするための方法を紹介します。
明確なゴールを決める
人間は明確な目的がないと、なかなか行動を起こせません。
そして行動を起こす時には、たくさんのエネルギーが必要です。
ゴールが曖昧なままだとすぐに行動でぎず、先送りにしてしまいがちになります。
だから「ゴール」を明確にすることが、片付けができるようになるコツなのです。
「物を整理したい目的は何なのか?」
「なぜ整理したいのか?」
ゴールを明確に設定することで、捨てられなかったり溜め込んでしまったりしている物に対しての見方が変わり、必要な物なのか不必要な物なのかの取捨選択ができるようになり、ゆくゆくは片付けや整理整頓という行動に移せるようになります。
言い方・促し方の工夫
もし片付けができない人が、あなたではなくあなた以外の身近な誰かだとしたら、その人が片付けをするように片付けて得られる結果を、その人が得られる恩恵(=ゴール)に置き換えて伝えるということです。
例えば、今まで「床に物が落ちていたら危ない」と言っていたことを、「あなたが床に落ちている物を踏んでケガをすることがなくなる、イライラしたり腹を立てたりすることがなくなる」という風に、言い換えるということです。
また、もったいなくて捨てられない物があるのなら、それらを売ったらお金になって、さらにより良い物が得られるかもしれないと言ってみましょう。
伝え方のコツは、片付けができない人にとって、片付けをした結果何が得られるのかということを明確に伝えるということです。
まとめ
S君は早速、「交際している彼女が、実家に挨拶に行きたいと言い出した」というゴールを設定しました。
お母さんに、「挨拶に来た彼女を玄関の外で迎えていたら、さすがに近所からおかしな目で見られるでしょう」という風に、お母さんの立場に立って片付けをするメリットについて説明しました。
するとお母さんも、「それはそうだ」という気持ちになってくれて、今徐々に徐々に実家の片付けが進んでいるようです。
片付けられない・片付けができない人の立場に立って、片付けをすることによって得られる恩恵を訴えたら、きっと片付けに応じてくれるようになるはずです。
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